第5話 試合開始
51 U-名無しさん sage 05/02/21 21:23:29 ID:KjAv1wUw0
ピッチの中央で整列する。うちのやつらがきょろきょろと落ち着きがない。
無理もない。サッカーをやっている高校生にしてみれば、
プロというのは憧れだ。それが代表なら言うまでもない。
でも、俺はゆっくりと左から右へ相手を見渡してやった。
大丈夫だ、力んでもいないし落ち着けてる。
よく見ると代表の面々がモニカを見てびっくりしているのがわかる。
みんな鳩が豆鉄砲をくらったような表情だ。
モニカの正面にたった加地さんなんか、
モニカを見たまま口が少し開いたままになっている。
礼をして解散になっても、モニカを見ながら何人かの選手が話をしていた。
何を言ってるかは聞こえなかったが
「なんで女がいるんだよ?」ぐらいのことを話しているのだろう。
選手がそれぞれのポジションに散らばっていく。
キャプテンの山口がコイントスでボールをとったらしく、うちのキックオフになる。
FWのふたりがサークルの中に入って、審判の笛を待つ。
52 U-名無しさん sage 05/02/21 21:26:27 ID:KjAv1wUw0
俺は反対側のサイドに目をやって、メンバーとポジションを確認する。
今回も海外組の早期召集はかなわなかった。
ジーコは連携不足に苦しめられた昨年の苦い経験も踏まえ、
国内組中心の布陣で、北朝鮮戦に臨むことを公言している。
システムは最近定着している3−5−2でまちがいないだろう。
GKはアジアカップでの鬼神のような活躍が記憶に新しい川口。
DFは田中、宮本、中澤。高さと技術を兼ね備えたメンバーだ。
ボランチに遠藤、福西。左にアレックス。右に加地。
このふたりの起用はもはやジーコの信念といっていい。不動のメンバーだ。
トップ下に小笠原。中村俊輔とのポジション争いが騒がしい昨今、
レギュラー奪取へ今日も気合の入った表情をしている。
FWは鋼の肉体を持つ鈴木と抜群のスピードを持つ玉田。
これがアジアカップを制したアジア最強の、
ワールドカップを争うアジアのライバルたちが恐れる日本代表だ。
53 age 05/02/22 13:41:20 ID:dYn3FhpP0
しつもんです。
モニカは二人組みだったよね。相棒はあぼーん?
56 U-名無しさん sage 05/02/22 21:03:43 ID:G14U6bnu0
審判が笛を吹いて試合が始まった。
タカシが後ろを向いてボールを下げた。俺の足元にボールが転がってくる。
それをダイレクトで左へ。芝を転がるボールをモニカがトラップする。
今日はポニーテールにまとめた金髪、大きく存在感を誇示する胸。ぷりっと丸い尻。
どこからどうみてもナイスバディの女の子だ。
はじめて着るうちの白いユニフォームもなかなか似合っている。
冬用で生地が厚いし、アンダーも着ているからブラが透けないのが残念だ。
ボールを持ったモニカは睥睨するように周囲を見渡した。
あ、雰囲気あるな・・と俺は思う。口で上手く説明するのは難しいけど、
すごいやつはたまにボールを持ってるだけで、
なんかオーラみたいなものを感じることがある。
足元にボールを収めたモニカの堂々とした立ち姿は、
彼女が今日の試合で「お客さん」なんかじゃないことを雄弁に物語っていた。
モニカの存在に気づいた周囲の観客から、一斉にざわざわとしたどよめきが起こる。
モニカがそんな外部のとまどいを気にすることなく、
落ち着いた足捌きで、ボールをいったんDFラインに下げる。
そのボールをCBの内藤が大きく前線へ蹴りこむ。
ボールを追ってタカシが小笠原を背後に背負いながら走る。試合の始まりだ。