第14話 モニカのいる学校生活
152 U-名無しさん sage 05/03/17 21:49:58 ID:pomEaaVP0
 岩崎が審判に選手交代を告げた。 
 代わるのはCBの渡辺。相当へばっているようだ。 
 少しでもフレッシュな選手を入れて持ちこたえようという考えだが、 
 サブの選手だから力は落ちる。差し引きしたらとんとんか。 
 山口、田中の両サイドの足ももうほとんど止まっている。 
 交代させてやりたいところだが、奴らの代わりがいない。 
 うちはまだそこまで選手層が厚くない。普通の公立高校の限界だ。 
 となると結論はひとつしかない。 
 ピッチに残ったやつらはもっともっと走れ、ということだ。 
 モニカはどうだろう。俺はモニカの様子を遠目で伺う。 
 なるべくスタミナをセーブしろ、という俺たちの指示に従って、 
 シンプルなプレーに徹している分、まだ多少余裕はあるようだ。 
 どんなにワンサイドのゲームでも、どんなに実力差があっても、 
 1回もチャンスの来ない、完全なノーチャンスのゲームというのは 
 実際のところなかなかないものだ。必ず後半も1回はチャンスが来る。 
 それを決定的なものにするにはモニカの力が必要だ。 
 そのためにはなるべくモニカのスタミナは大事に使いたい。 
153 U-名無しさん sage 05/03/17 23:31:24 ID:5J0ddNxn0
 さくせん 
 みんながんばれ 
→モニカだいじに 
 ガンガンいこうぜ 
 めいれいさせろ 
156 U-名無しさん sage 05/03/18 23:49:54 ID:pjUgjFEW0
 モニカと同じクラスの、そして同じ部の友だちとして 
 一緒に過ごす毎日がはじまった。 
 同じ教室で勉強し、放課後はグラウンドで一緒に走る。 
 昼には学食で一緒にくそまずいラーメンをすすったりもする。 
 そんなふうに一緒の時間を過ごしていくうちに、 
 モニカについていろんなことを知るようになった。 
 サッカーは物心つく前からやっていたこと。 
 アメリカでも女子のクラブチームに入っていて、攻撃的MFをやっていたこと。 
 アメリカというとやっぱりメジャーリーグやNBA、NFLのような 
 他のスポーツのイメージが強いので、 
 その話を聞くとなんか変な感じがするのだが、 
 それをいうとモニカは鼻の穴を膨らませて怒った。 
 確かに男子も女子もFIFAランキングでは、アメリカは日本より上なのだ。 
 この前の日韓ワールドカップでもちゃんとベスト8に残っている。 
 俺たちは、そんな話をつっかえつっかえしながらやりとりした。。 
 モニカの日本語は、お母さんから多少習った程度で、 
 相当練習する必要があったからだ。 
 ある日なんか、朝、教室で顔をあわせるなりいつもの大きい声で、 
 「ハーーーイ、スケベーーー」と叫ばれたのにはあせった。 
 話を聞くと、それが俺のニックネームだと教わったらしい。 
 アホなことを教えたタカシとサッカー部の連中を 
 さんざん俺がしめあげたのはいうまでもない。 
 事情がわかった後も、すっかりその言葉が気に入ったモニカは、 
 決して間違ってない、とかいいやがって、時折、スケベーと俺を呼ぶようになった。 
 そのたびにクラスの女子が、怪訝な顔をして俺を見る。 
 ほんと、勘弁してくれっつーの。 
157 U-名無しさん sage 05/03/18 23:51:59 ID:pjUgjFEW0
 グラウンドでのモニカはやはりただものではなかった。 
 ボール扱いだけなら、部の中では一番うまかった。 
 というかトレセンや試合で見た他の学校やユースの連中まで含めても、 
 モニカほどうまいやつは俺の記憶の中にはいなかった。 
 俺たちは練習のはじめと終わりに、 
 モニカのやってみせる様々なリフティングやボールタッチを、 
 まねしたり、またはモニカから教わることが日課になった。 
 「stop!」というモニカの声。 
 俺は頭の上に載せていたボールを、首の後ろでいったんホールドした後、 
 背中づたいに落として足で処理する、というトリックの練習をしていた。 
 けれども頭から落としたボールは、 
 ホールドするどころか勢いよく転がり落ちてしまう。 
 そばで見ていた山口が、 
 「うまい選手は背中でもボールがトラップできるっていうけど、 
 ほんとなんだなあ」なんて暢気に感心している。 
 お前も一緒にやれ、といいたいが、 
 山口はニヤニヤしながら高見の見物を決め込んでいる。 
158 U-名無しさん sage 05/03/18 23:52:56 ID:pjUgjFEW0
 俺の正面にたったモニカが、いきなり俺の頭を両手で掴んだ。 
 訳がわからなかったがどうやら頭を下げろ、といいたいらしい。 
 引っ張られるまま、頭を下げて前かがみの姿勢をとると、 
 モニカが俺の首筋を触った後、そこにボールを載せた。 
 なるほど、モニカが触ったところにくぼみがある。ここを使え、ということか。 
 納得して、モニカにわかったよ、と言おうとして視線を上げた俺はぎょっとする。 
 モニカの巨乳が顔の至近距離にある。 
 うっかり顔を左右に動かそうものなら当たってしまいそうな近さだ。 
 よくいう谷間に顔をうずめる、というのはこんな感じなんだろうか? 
 やわらかくて弾力のありそうな胸が目の前。 
 くそ、健康な男子高校生には刺激が強すぎるぜ。 
 「あっ、おめえ、モニカちゃんとなにやってんだ!!」 
 あー、タカシの声だ。必ず邪魔をしやがる。 
159 U-名無しさん sage 05/03/19 11:13:17 ID:hYxZ5vG20
( ゚∀゚)o彡゚ おっぱい!おっぱい!! (・∀・)イイ! 
↓「ハーーイ! ドスケベー!」 
160 U-名無しさん sage 05/03/19 18:10:49 ID:+BtHaSZs0
このスレのモニカを全てモニワに脳内変換して読んでみるテスツ 
162 U-名無しさん sage 05/03/20 00:05:39 ID:Z2puQWhy0
 もちろんモニカはボール扱いだけでなく、ゲームでも実力を発揮した。 
 パスセンスと視野の広さは、俺たちの中では飛び抜けていた。 
 敵に囲まれた状況の中でもしっかりとボールをキープして、パスを出す。 
 空いたスペースとフリーの味方はめったに見逃さなかった。 
 俺がフリーの位置にいるときに、どうせ気づいていないだろうと思っていると、 
 モニカからどんぴしゃのパスが飛んでくる。 
 この状況であいつには俺が見えているんだ、という驚きがあった。 
 それはいままでうちのチームでは経験したことのない感覚だった。 
 俺たちの年代で将来、Jに行くようなやつと会うと、 
 次元を超えたモノの違いというやつを痛感させられるらしいが、 
 俺にとってはモニカがその対象だった。こいつはモノが違う。 
163 U-名無しさん sage 05/03/20 00:06:41 ID:Z2puQWhy0
 ただ、しばらくやっているうちに、モニカにも弱点があることがわかってきた。 
 弱点というのは酷かもしれない。それは筋力の問題だからだ。 
 女性としては文句なく十分にトレーニングされていたし、 
 欧米人の体というべきか、日本人のそれとは比べ物にならない強さがあった。 
 だがそれでも、やはり筋力の限界というのがあった。 
 接触プレーなんかは意外と身のこなしや体の使い方で対応できるのだが、 
 ロングキックやシュートのスピードにはやはり辛いものが見えた。 
 テクニックでは足元にも及ばない俺たちが、 
 シュートスピードやキックの飛距離ではモニカを確実に超えていた。 
 練習でやるゲームでは、モニカは中盤に入るようになった。 
 俺と一緒のときはさしづめダブル司令塔だ。 
 本人が元々やっていたポジションというのも大きかったが、 
 時にロングフィードが必要なDF、激しい身体接触があるFWは 
 やはり彼女の体の特性を考えると男に混じってプレイするには難しい。 
 ただ別にそれは俺たちにとって不自由なことでなく、 
 そういう特性のあるチームメートがいるというだけのことだった。 
164 U-名無しさん sage 05/03/20 00:09:01 ID:Z2puQWhy0
 その一方、俺もタカシも、そして部の連中みんなが、 
 フィジカルトレーニングに一生懸命取り組むようになった。 
 ランニングからはじまって敏捷性や運動能力を上げる様々なトレーニング。 
 今までの俺たちはそういうトレーニングに対して、 
 不真面目とはいわないが、さほど熱心でなかったのも事実だった。 
 どのスポーツでも同じだが、やっぱりボールを触ってるほうが楽しい。 
 でもモニカが入ってからしばらくすると、 
 みんながトレーニングについて真剣にやるようになった。 
 トレーニング中のひとつひとつの動きを、指の先まで神経をいきわたらせて行う。 
 それは単にモニカを見て、筋力の大事さを理解したから、というだけではない。 
 自分の持ってる体の特性や能力、 
 それを最大限引き出すことの大切さとひとりひとりが向き合いはじめた。 
 パワーのあるやつ、スピードのあるやつ、頑丈なやつ。 
 それぞれが自分の長所を把握して、 
 それを最大限発揮しようという意識が俺たちの中に自然と生まれていた。 
166 U-名無しさん sage 05/03/20 23:55:13 ID:16kn7Mww0
 大黒が早い反転からシュート。DFがついていけていない。 
 低いボールが枠に飛んだが、楢崎さんが横っ飛びではじきだす。 
 ライン際に転がったボールを内藤が必死にタッチラインへ蹴りだす。 
 大黒の動きがいい。好調という報道はほんとうのようだ。 
 ピッチを見回して俺たちの状態を確認する。 
 うちはエリア付近にDFの4人と、両サイドの二人が張りついている。 
 しかし6枚いても守りきれる、という感じはしない。 
 ハーフウェーラインにタカシが残っている。 
 もう一人のFWの高田はもう完全に中盤に下がっている。 
 モニカ、俺と高田の3人で中盤。6−3−1みたいなもんだ。 
 攻められっぱなしだから、ずっとこの隊形になってしまっている。 
 なまじ前線の枚数を減らすと、攻撃に手をかけられてしまうから、 
 なるべく高め、高めにいるつもりだったが、もう限界か。 
 タカシを引かせて俺もエリア内に入って守るか? 
 そのとき、内藤がすっと俺のそばに寄ってきた。 
 「絶対にカウンターのチャンス作るから」 
 思わず内藤の顔を見返す。内藤はいつもどおりのくそまじめな顔で、 
 「なんとか守るから。だから攻撃は頼む。 
 モニカちゃんとタカシとお前の3枚でカウンター狙ってくれ」 
 俺は何も言えなくなってうなづいた。 
 この試合、トータルで見れば内藤がもっともそんな役回りかもしれない。 
 ひたすら相手の攻撃を耐え忍び、体を張り続けている。 
 それでもまだ内藤は前を見ていた。目の前に広がる膨大なスペースに 
 いつかボールが出て、それを俺やモニカが運んでいく様子を。 
 俺は黙ってエリアの少し外にポジションをとる。 
167 U-名無しさん sage 05/03/20 23:56:33 ID:16kn7Mww0
 そんなふうにして、モニカが部にもすっかり馴染んだある日曜日。 
 都内の私立校との練習試合があった。久しぶりの試合だった。 
 名門校として有名な、そしておそらく今年も格上だと思っていた 
 その相手に、俺たちは完勝した。 
 俺自身もプレイしていて、いままでと感覚がまったく違うことに驚いていた。 
 いままでだったらふらついてたような、相手のがつがつとした当たりを 
 俺の体はしっかりと受け止める。当然ボールを出すときの余裕も違ってくる。 
 動きの違いは俺だけじゃなかった。 
 タカシたちFWは相手のチャージを跳ね飛ばし、競り合いも強引に突破する。 
 内藤たちDFはロングボールを屈強にはね返し、相手からボールを奪う。 
 山口、田中の両サイドはライン際を相手選手の倍は走り、クロスをあげ続けた。 
 チーム一人ひとりが大きく成長していた。 
 ひしひしと手応えを感じてベンチに引き上げると、 
 ベンチで待っていたモニカが大喜びで俺たちを迎えた。 
 「fantasiticネー。ミンナ、ナイスゲーム」 
 俺たちはモニカと腕をクロスさせて喜びを分かち合った。 
168 U-名無しさん sage 05/03/20 23:57:09 ID:16kn7Mww0
 その日の帰り道。俺はタカシと一緒の電車に乗っていた。 
 「なあ」タカシが口を開いた。 
 「ん?なんだ」 
 「モニカちゃん、試合出られないのかなあ」 
 それは俺も何度か気づきながら触れないようにしてきたことだった。 
 今日の練習試合、モニカはジャージ姿でずっとベンチに座っていた。 
 「俺もルールとかちゃんと読んだことないからわからないけど、 
 たぶん女子と男子ってサッカーはきっちり分かれてるんじゃないか」 
 「だよな。確かセリエAのペルージャが女子選手を入団させようとして、 
 FIFAからストップがかかったことあったよな」 
 そのニュースは俺も聞いたことがあった。 
 「高校サッカーもやっぱりだめなのかな」 
 俺は返事ができずに黙っていた。 
 しばらく電車の走行音だけが俺とタカシの間でリズムを刻んでいた。 
 「モニカちゃん、ほんとにうまいのになあ。 
 実力だけでいえば、うちでも当然レギュラーだし。 
 なによりモニカちゃんと一緒にサッカーやりたいよなあ」 
 その気持ちは俺も一緒だった。 
 「でも試合のたびに見てるだけじゃモニカちゃんもつらいよなあ。 
 あれだけサッカー好きなんだもん。一緒にやりたいだろうになあ」 
 俺は黙って窓の外を見る。街の景色が流れていく。 
169 U-名無しさん sage 05/03/21 00:36:45 ID:QHnPgcqE0
モニカタソ (*´д`)ハァハァ 
171 U-名無しさん sage 2005/03/21(月) 17:56:37 ID:zS8dYEWZ0
こんなスレがあったのか 
一気に全部読んでしまった 
俺の中でモニカはミア・ハム 
いや、実に痛快で爽快で愉快だね