第12話 回想〜サッカー部〜
130 U-名無しさん sage 05/03/13 23:04:35 ID:YYhhPi410
モニカは転向してきたその日から、早速、サッカー部に顔を出した。
珍しく練習の開始前に顧問の岩崎が、部員全員を集める。
「今日から一緒に練習することになった2年生のモニカだ。
正式な部員ではないが、練習は全部一緒に行う」
他の奴らの顔を見るとなんともいえない微妙な顔をしている。
視線がモニカの胸にしかいっていないような
馬鹿面でにやけてるアホどもはおいといて、
多くの連中は、かわいこちゃんと練習できるのは嬉しいが、
はたして練習についてこれるものなのか、足を引っ張られるだけに
終わるんじゃないか、と内心首をかしげているのがわかった。
練習開始、という岩崎の声に、俺たちはグランドに散らばる。
下級生の掛け声にあわせてランニング、ストレッチ。
そのあとはボールを使ったウォーミングアップ。
俺の今日の相手はタカシだ。
タカシの蹴ったボールを頭でトラップ、右膝に落とす。
交互に左右の膝でボールの感触を楽しんでから、
下へ落として足首でホールド。そしてタカシへ戻す。
そのとき、グランドで突然に歓声が起きた。
131 U-名無しさん sage 05/03/13 23:06:17 ID:YYhhPi410
顔を向けるとみんながモニカを見ている。
みんなの視線の先でモニカはボールを頭の上で静止させていた。
いわゆるオットセイのポーズだ。
その状態からボールを背中づたいに落としたかと思うと、
右足のヒールで蹴り上げる。そのボールをもう一度頭でトラップ。
ボールは小さく弾んだが、またモニカの頭の上で静止した。
その動きが早く流れる。ボール捌きが美しい。
隣でタカシが「ひゃあ」と驚きの声を上げた。
もう一度背中づたいにボールを落とす。もう一度ヒールかと思いきや、
左のアウトサイドでボールをトラップすると、体の正面へ持ちかえた。
「なんや、あれ。前、テレビで小野伸二がやってるのみたことあるけど・・」
ボールに紐か粘着テープがついてるに違いない、と思わせるほど、
そのあともモニカは見ほれるようなボールコントロールを披露した。
いつのまにか部員がみんな練習をやめて、モニカのショーに見入っていた。
「お前の話、信じる気になったわ」とタカシがつぶやく。
アホか、と俺は心の中で呟く。これを見せられて、
それでも信じない奴がいたらそいつは頭がおかしい。
ふと気になってグランドを見渡すと、グランドの隅で岩崎が腕組みをして立っている。
いつもどおり。じっと静かに俺たちを見ている。でも、驚いてる感じはない。
あいつ、モニカの力を最初から知ってたのかな、と俺は思った。
133 U-名無しさん sage 05/03/14 23:51:29 ID:OMpppETZ0
せっかくだから、ということで今日はメニューを変更して紅白戦をやることになった。
キャプテンの高田が岩崎に許可を求めにいくと、
メンバーは自分たちで相談して決めろ、という答えだった。
俺とタカシは、モニカの敵チームに入ることにした。
三人が一緒では、実力差の調整が難しかったし、
それに敵側にいたほうが、よくプレーを観察できる。
あとはレギュラー陣とサブ組を両チームにバランスよく振り分ける。
モニカを抜きにすれば、まちがいなく俺たちが有利だな、と
組み分け結果をみて、心の中でおれは思う。
なんてったってエースFWのタカシと司令塔の俺がいる。
審判役の下級生が笛を吹いて、相手チームのキックオフで試合が始まった。
俺はさっそくモニカのポジションを確認する。センターサークルの後ろ、MFの位置だ。
FWの1年生がボールを下げる。早速、モニカにボールが回った。
それをみたタカシが喜びいさんでチェックに行く。
そのまま抱きついて胸でも揉みかねない勢いだ。
そのダッシュ、普段の試合で見せろよ、と俺は心の中で毒づく。
134 U-名無しさん sage 05/03/14 23:52:49 ID:OMpppETZ0
タカシのダッシュをみたモニカは左前の半身にかまえる。ボールは右足で持っている。
馬鹿正直に正面からくっついたタカシに、
モニカは落ち着いて右のヒールで自分の右後方、タカシの右側にボールを出す。
体を預け気味に右回転させて抜け出す一方、
左手ではきっちりタカシのシャツのすそを引っ張っている。
モニカのスムースな回転にきれいにバランスを崩されたタカシは、
柔道よろしくもんどりうってグランドに倒れた。
あの馬鹿。いくらなんでもなめすぎだって。起き上がったタカシが呆然としている。
こうなりゃ俺が行くしかない。顔を上げたモニカが俺に気づく。
くいくい、とモニカが指を動かす。なめんなよ。
この前は二人相手だったから苦労したが、一対一ならそうはいかないぜ。
モニカが右足でボールをまたぐ。つづいて左足が動く。今度もまたいだだけだ。
ボールは動かない。お前はカズかよ!と突っ込みを入れたい。
135 U-名無しさん sage 05/03/14 23:53:54 ID:OMpppETZ0
そっちが来なけりゃこっちから行くぜ、とばかりに体を入れる。
一応、女相手だ。ふっ飛ばさない程度にがつんと当たる・・予定だったが、
それが罠だった。
ボールは俺の股の間を転がって後ろへ抜けていった。モニカが右に飛びのく。
足、動いてねえのになんで地面にあるボールが動くんだよ?
もちろん、足を動かしてないのにボールが動くわけはない。
限りなくノーモーションのトゥキックでボールを押し出したんだろう。
片足でフェイントをかけてその実、残った軸足でボールをつついて抜き去る。
珍しいテクニックではないが、切れ味がよすぎる。
飛びついた俺が馬鹿だった、ということだ。タカシといい勝負だ。
くそったれ、このままで終われるかよ。俺はきびすを返すとモニカを追った。
しかし。
後ろから見ると実にいいケツだ。
136 U-名無しさん sage 05/03/15 06:49:19 ID:Zt6o+PUl0
( ゚∀゚)o彡゚ おしり!おしり!!